「桜流し」「花束を君に」「真夏の通り雨」

宇多田ヒカル
桜流し」を人間活動中に出してから、やっと戻ってきた宇多田ヒカル
今日は、まさにその「桜流し」の天候。雨風に満開を迎えたばかりの桜が散っていく。
桜流しの言葉も綺麗、雨に打たれて散る桜吹雪も綺麗、そしてこの「桜流し」の曲がまた良い。何度もリピートしてしまう。
この曲は今までの宇多田の曲とは違っていた。エヴァンゲリオンのEDだが、東関東大震災に影響を受けモチーフにした曲。「すべての終わりに愛があるなら」と未来に進もうと決意する曲。リズムより歌詞を重視し、ピアノだけで余分な音を極力避け、サビで一気に思いと音がうねる様に重なり、そのままエンディング。一番好きな曲になった。
その「桜流し」からの流れを汲む新曲「花束を君に」、「真夏の通り雨」。三部作と思ってしまうほど歌詞も曲も歌い方も「桜流し」に通じる。
シングルコレクション2の新曲5曲の中で最も近いのが「嵐の女神」か。
宇多田の曲は、死をイメージして暗いと言う人がいるが、むしろ、生きたい、生きていくことに価値がある、という思いの方が強い。しかし、生きるのは辛い、悲しい、その中で何とか生きる為の何かを求めることが大切だと主張している。自分自身を含めて。
それが、愛であったり友情であったり家族への思いであったり自分の価値だったりするのである。
宇多田ファンなら新曲を聞いて「桜流し」系譜と感じた人が多いと思う。
シングルコレクション2を聞いていない人や「桜流し」を知らない人には、歌い方が変わった、曲調が変わった等々シンコレ1との差異に戸惑うのは無理もない。
R&B基調のファーストアルバム、少し宇多田流のセコンドアルバム、歌謡曲チックのサードアルバム、自由奔放のフォースアルバム、普遍化目指したフィフスアルバム。
復帰かと騒がれて母の死で遠のき、結婚、出産を経て次のアルバムはどうなるのだろう。
1年間ラジオで宇多田が選ぶ曲を聴いていれば彼女の好きな傾向はある程度察し出来た。だが、予想外の曲が必ずあるのが宇多田ヒカルのアルバム。33歳になった彼女の音楽が楽しみである。
さて、もう一度「桜流し」を聞こう。