宇多田ヒカルの歌詞  BWについて

昔の曲にも好きな歌詞がある。サングラスの「神様ひとりぼっちだから救える」とか、W&Sの「大きすぎるブレスレットのようにスルリ」とか、Fou You の「傷つきさせてよ直してみせるよ」とか。2ndアルバムばかりだけど。他のアルバムにもあるけど2ndの歌詞が何故か多い。言葉遊びを始めたのが3rdアルバムからかもしれない。光やトラベリングから始まったと思う。極めつけがKTとK&C。その意図でつくっているのでその遊び心は最高だが。
さて本題のBW。
Beautiful World ってどんな世界?あの方の美しい国を何故か思い出してしまう。Worldと言う割には歌詞は狭い世界だ。まあ心の世界だから無限大だけど。
この歌詞の中で好きなのは、
「何が欲しいか分からなくて ただ欲しがって ぬるい涙が頬を伝う」と「それでいいけど」「別にいいけど」「自分の美しさまだ知らないの」のところ。

「何が欲しいか分からなくて ただ欲しがって ぬるい涙が頬を伝う」このぬるい涙が分からない。悲しい涙なのか、悔し涙なのか。冷たい涙なら・・・熱い涙なら・・・それなりに解釈が出来る。だが、ぬるい涙・・・この分からなくさせているところがいい。生きている温もりも感じさせている。
「それでいいけど」「別にいいけど」は、Bleu の「さあね」に通じるところがある。揺れ動く関係や心を断定しない。否定も肯定もしない、そんなスタンス。「自分の美しさまだ知らない」時期の曖昧な不透明な成長過程にあるidentity への葛藤期の不安定さを表現しているのか???
ともかく、この曲の歌詞は???ばかり。それでいて、なんとなく感じるものがある。歌詞もだが、曲のつくりも凝っているのになんとなく平易な曲に思えてしまう。好きだなあこの曲。

最後に「新聞なんかいらない」「肝心なことが載ってない」について。
井上陽水の傘がないを想起した。確かに身近なことは新聞には載っていない。自分にとっての大事なこと(人)は、新聞やTVからの情報とは無関係なところに存在している。